「英語キャンペーン」(以下「英キャン」という)とは何か、そしてどんな想いで運営しているのかを、興味を持って下さった先生方にお届けすべく、2人のJNSA基金の本部委員(以下「JN」という)に話を聞きました。隊長・副隊長として英キャンを作った経験があり、英キャンを熟知している2人に、その魅力をたっぷりと伝えてもらいます。
『英キャンの舞台裏【第1弾】』では、「先生とJN」に焦点を当て、英キャンがどのようにして開催されるのかに迫りました。今回は、第2弾として「生徒とJN」に焦点を当て、JNが何を考え、どんな想いで生徒と接しているのかに迫ります。
国際基督教大学4年 斉藤花さん(写真左)
2018年度英キャン鹿児島隊で副隊長を務める。
明治大学3年 原田燎さん(写真右)
中学生の時、2013年度の英キャンに参加したことをきっかけにJNSA基金へ入り、2019年度山口隊の隊長を務める。
一人一人と一緒に「学ぶ」
─(第1弾では、先生との関わりを見てきた)一方で、英キャンの開催期間中は、中学生との距離が一番近くなると思います。その際、特に意識していることはありますか?
原田 中学生にどう映るかを考えています。特に大切にしているのが、中学生以上に高いテンションでいることですね。変にこちらが構えて格好つけてしまうと、中学生もふさぎ込んでしまうというか、恥ずかしいとか格好良く振舞わなくちゃという気持ちになってしまうと思うんです。だから、「君たちよりもテンションが高いんだよ!」と示し続けられるように努力しています。
斉藤 英キャンには、英語が好きな中学生だけでなく、英語が苦手な中学生も大勢来ています。様々な生徒がいて、全員を「皆のうちの一人」として対応してしまうと、どうしても英語が楽しくないと思う生徒が出てきてしまいます。だから、それぞれの生徒、その人その人としっかり向き合うことを大切にしています。英語が苦手と感じる理由は色々あるので、その生徒に向き合うことで一緒に解決しようとしていきたいと思っています。
司会 英語を教えるイベントでありながらも、「教え方」よりもまずは「中学生との心の距離をいかに縮めるか」ということを二人は大切にしているのですね。
原田 そうですね。「教える」というか「一緒に学ぶ」ことをポイントにしています。
間近で見る、心が動く過程
─中学生との交流の中で特に印象に残った瞬間や出来事はありますか?
斉藤 ホームステイ先の中学生の話なのですが、彼女は最初は英語が大嫌いでした。1日目は「英語嫌い。」と言い、英キャン中も消極的に参加している印象で、どうしようかと思いました。そこで、2日目の夜、家で英語を少しだけ使ったカードゲームをしてみたり、他にも楽しい遊びをしてみたりしました。すると次の日、「英語の宿題を一緒にやってほしい。」と言われ、英語を勉強する気に少し近づいたかなと感じました。最終日には、少し恥ずかしそうにしながらも「英キャン楽しかった。」と言ってくれて、それがとても嬉しかったのを覚えています。ホームステイを通して、その中学生が英語を好きになる過程を間近で見ることができ、とても感動しました。
原田 最終日のお別れのとき、中学生が英語を好きになったと伝えてくれたことです。さらに、「絶対JNSA基金に入る。」と言ってくれたことがとても印象的でした。こんな嬉しい言葉を伝えてくれるくらいにまで仲良くなれたことが嬉しかったです。
中学生が自分できっかけをつくる
─それでは、最後に、二人が英キャンに対して自分なりに持っている想いやこだわりを教えてください。
原田 英キャンにあの時参加したから、今ここでこのようにお話ができていると思います。あの時英キャンに参加しなかったら、英語を本気で頑張ることもありませんでした。英キャンというスタートがなかったら、全く違う人生を歩んでいたと言えるほどの自信があります。それくらい英キャンは影響力を持った企画であり、だからこそ中学生が主体的になれる企画を多く作りたいというこだわりを持ってやっています。
斉藤 英キャンに参加してくれた中学生に楽しんでもらうことに加え、やはり英キャンのモットーでもある、「中学生が自分できっかけをつくる」ことを願っています。さらに、3日間で終わらせるのではなく、その後の中学生の成長を見届けたいという想いを持ちながら英キャンを作っています。毎年、出会う中学生もその土地も異なるので、瞬間、瞬間を大切にしていきたいと思っています。
さて、私たちの英語キャンペーンにかける想いを、感じ取っていただけたでしょうか。JNSA基金には、原田さんのように自分の中学生時代の実体験が原動力となって今の活動に繋がっていたり、斉藤さんのように英キャンのその先にまで中学生の力になりたいと考えていたり、それぞれの「想い」を持って運営に取り組んでいるメンバーが大勢います。
取材・文/久松将太 長﨑柚衣